農業やるなら押さえておきたい資金調達制度

農業を営む場合に限らず、ビジネスをする上で、頭の中では常に様々な悩みが付きまとっているかと思います。

  • 月々の資金調達に困っている。
  • 過去の借入れの返済負担が大きい。
  • 減収減益などによる資金繰りに困っている。
  • 新たに販路拡大や施設整備に取り組みたい。

こと農業に焦点を当てると、野菜の価格変動や災害などのリスクなど、悩みは尽きません。

実際に資金調達を行うにも

 「金融機関との交渉や相談が難しい…」

 「融資制度が多すぎるので、どれを使えばいいのかわからない…」

といった、精神的にも時間的にもハードルがあるのではないでしょうか。

日々の業務に追われ、必要に応じた制度を取捨選択するのは非常に難しいと思います。

そこで、あらかじめ農業融資の全体像・性格を知っておけば、

「きっとこんな場合にはこんな融資があるんだろうな。」

というイメージができます。

今回は、農業の資金制度の特長と具体的なを紹介していきます。

  • 農業ならではの有利な金利
  • 借り換えにも使える制度
  • 災害や天候不順で減収になったときこそ使う制度

農業融資は似たような制度のものが多いですが、数種類のパターンを覚えることで、何らかの融資とつながります。

既に融資を利用したことがある方はもちろん、初めて融資を利用する方にとってもハードルが低く、申請しやすいものをピックアップしました。

これらの融資を駆使して、農業経営の足かせを少しでも減らすことが出来ればと思います。

既に農業融資を利用している方でも、日本政策金融公庫か民間金融機関で同じような内容で違う名前の制度のものもあるのでぜひチェックしてみてください。

農業の資金調達制度

農業系の資金調達の特長は以下の通りです。

  • 1%以下(低いと0.16%)の低金利
  • 返済期間が長く、償還期間付き
  • 無担保無保証

資金調達の制度にはさまざまな制度や融資機関が存在していますが、融資機関を日本政策金融公庫と民間金融機関に分けていくつか紹介していきます。

日本政策金融公庫の融資制度

農林漁業セーフティネット資金

概要一時的な影響に対し、経営の維持安定に必要な長期資金
借入対象者認定農業者、主業農業者、認定新規就農者、集落営農組織等
資金使途長期運転資金
借入限度額1年間の経営費または粗収益に相当する額(いずれか低い方)
帳簿記帳を行っていない方は1,200万円以内
金利当初5年間は実質無利子
融資期間15年以内(うち据置期間3年以内)
担保実質無担保

https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/keieitai.html

主な要件は以下の通りです。

  • 台風や地震、干ばつといった災害の被害を受けた
  • BSE,鳥インフルエンザによる被害 森林病害虫等による行政指導を受けた
  • 粗利益が前期比-10%以上減収 取引先の倒産による販売や仕入れ等の影響を受けた
  • 新型コロナウイルス感染症による著しい影響を受けた

新型コロナウイルスによる影響はもちろん、災害や病害虫による収益源にも使える農林漁業セーフティネット資金。すぐに利用するかどうかはさておき、このような手厚い救済処置があるということを知っておき、転ばぬ先の杖とすることはとても大切です。

農業経営基盤強化資金(スーパーL資金)

概要農業経営の改善のために必要な長期資金
借入対象者認定農業者
資金使途農機具、農舎などの施設資金、長期運転資金(負債整理含む)など
借入限度額個人は3億円(複数部門経営等は6億円)以内
法人は10億円(民間金融機関との協調融資の状況に応じ30億円)以内
金利当初5年間は実質無利子
融資期間25年以内(うち据置期間10年以内)
担保実質無担保

https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/a_30.html

農業経営基盤強化資金、いわゆるスーパーL資金です。

この融資制度があるから「認定農業者」を目指すといっても過言ではないほど、農業を始める方にとっては有難い制度です。

※認定農業者とは、農業経営改善計画を市町村等に申請して認められた者のこと。

据え置き期間10年あり、年利0.3以下!最低は0.16%からあります。自動車や住宅をローンで購入を検討したことがある方なら破格の条件だということはすぐにわかりますよね。

更に、使用用途がとても広く、機械設備費はもちろん農地の取得費、負債の整理、人件費にも利用可能です。

「あんなところに、急にすごい規模のハウスができたなぁ」と思うこと、ありませんか?

一念発起して脱サラして始めたイチゴ農園や、最新設備を導入した水耕トマト栽培のハウスなどはほぼこの制度を利用しているでしょう。

しっかりとした経理組織を持っていて、農業に新規参入する企業には間違いなくおすすめの制度です。

経営体育成強化資金<前向き投資資金>

概要農業経営の改善のために必要な長期資金
借入対象者主業農業者、認定新規就農者、集落営農組織など
資金使途農機具、農舎などの施設資金、長期運転資金
(※長期運転資金は集落営農組織などに限る)
借入限度額貸付けを受ける者が負担する額の80%ただし、
前向き投資資金と償還負担軽減資金を合計して
個人1.5億円、法人5億円の範囲内
金利当初5年間は実質無利子
融資期間25年以内(うち据置期間3~10年以内)
担保実質無担保

経営体育成強化資金<償還負担軽減資金(再建整備資金)>

概要償還負担の軽減を図るために必要な長期資金
借入対象者主業農業者、認定新規就農者など
資金使途制度資金以外の負債整理資金
借入限度額個人は1,000~2,500万円以内、法人は4,000万円以内
ただし、前向き投資資金と償還負担軽減資金を合計して
個人1.5億円、法人5億円の範囲内
金利当初5年間は実質無利子
融資期間25年以内(うち据置期間3~10年以内)
担保実質無担保

経営体育成強化資金<償還負担軽減資金(償還円滑化資金)>

概要償還負担の軽減を図るために必要な長期資金
借入対象者主業農業者、認定新規就農者など
資金使途制度資金に係る負債整理資金
借入限度額経営改善計画期間中(個人:5年間、法人:10年間)に支払われる既往借入金等
負債の各年の支払金の合計額
ただし、前向き投資資金と償還負担軽減資金を合計して
個人1.5億円、法人5億円の範囲内
金利当初5年間は実質無利子
融資期間25年以内(うち据置期間3年以内)
担保実質無担保

https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/keieitaiikusei.html

経営体育成強化資金は農地改良や農地の取得費用、生産加工等への新規投資に使える「前向き投資」と負債の支払いに使える「償還負担軽減資金」の2種類があります。

前提として「農業経営の改善を図るために必要な資金」ということ。新しく投資する際にも、投資を失敗してしまった際に、再度経営を立て直すためにも使える資金です。

農林漁業施設資金

概要施設の整備等のために必要な長期資金
借入対象者①農業を営む者、②農業協同組合、農業協同組合連合会等
資金使途農機具、共同利用施設などの施設資金
借入限度額①は原則、貸付けを受ける者が負担する額の80%
(但し、資金使途によっては上限額あり)②は負担額の80%
金利当初5年間は実質無利子
融資期間①は原則15年以内(うち据置期間3年)②は原則20年以内(うち据置期間3年)

https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/shisetsushikin.html

組合や地域など、共同で施設を整備するときに使える制度です。現状、JAなどの大きな組合組織のための制度の側面が強くなっているせいか、官民合同の資金調達ヒアリングのイベントではしばしば議論の的になっています。もっと小規模な組合にも使えるように改良すべきとの意見が多いそうです。

民間金融機関の融資制度

農業近代化資金

概要農業経営の改善のために必要な長期資金
借入対象者認定農業者、主業農業者、認定新規就農者、集落営農組織など
資金使途農機具、農舎などの施設資金、長期運転資金
借入限度額個人は1,800万円以内、法人・団体は2億円まで(農業参入法人は1億5千万円まで)
金利当初5年間は実質無利子
融資期間資金使途に応じて、7~20年以内(うち据置期間は2~7年以内)
保証(担保)農業信用基金協会の保証を利用される場合は、実質無担保で当初5年間は保証料免除

https://www.maff.go.jp/j/g_biki/yusi/06/1_0603.html

認定農業者でなくても、農業粗収益が200万円以上の農業者でも申請できるのが「農業近代化資金」です。

認定農業者でなくても申請でき、認定農業者の届け出と同時進行で進めることができるため新規就農者や新たに農業参入する企業の方にとって、まず始めに活用を検討すべき制度です。

 農業経営負担軽減支援資金

概要償還負担の軽減を図るために必要な長期資金
借入対象者負債の償還が困難になっている農業者
資金使途負債整理資金
借入限度額営農負債の残高
金利当初5年間は実質無利子
融資期間10年以内(うち据置期間は3年以内)
※ただし、年間償還額からみて、特に必要があると認められた場合は15年以内
保証(担保)農業信用基金協会の保証を利用される場合は、実質無担保で当初5年間は保証料免除

https://www.maff.go.jp/j/g_biki/yusi/06/1_0609.html

先ほど挙げた「経営体育成強化資金」は日本政策金融公庫案件ですが、こちらの「農業経営負担軽減支援金」は民間金融機関の案件になります。使用用途はおなじく、営農で生じた債務の借り換えに使える制度です。

まとめ 

農業における資金調達を検討される理由はそれぞれあると思いますが、どのような制度があるかを知り、その制度を十分に理解することが非常に重要です。いざ資金調達が必要となった場合に、制度を知っているということが、農業を事業として行う上で安心材料の一つになります。

また、実際に事業を拡大するための資金が必要となったり災害や天候不良などによる減収の際には、上記で紹介したような融資を受け、事業を拡大および継続していく手段として有効に活用していきたいものです。

そうはいっても、融資獲得へのロードマップやどの融資が最適かなど専門家の意見は欲しいものですよね。

融資を通すことが目的化してしまい、肝心の事業がお粗末になってしまっては本末転倒です。

専門家に相談して、正しい事業の方向性を捉え、そこへ向かうための手段の一つとして融資を受けることが事業の成功への近道といえます。

新しく農業を始めようと検討されている方、農業を絡めたビジネスモデルをお持ちの方で資金調達について知りたい場合はぜひ一度専門家へご相談ください。

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