農業をはじめるなら知っておきたい用語集

これから農業を始めるとき、事業計画を作成するときに是非とも知っておきたい農業に関する用語集をまとめました。

内容として難しいものは多くありませんが、知っておかないと役所や金融機関と話が進まないもの、本来貰えるはずのものが貰えなくなってしまうことがあります。

また、紙を一枚提出するだけでとてもお得になる認定や融資制度もあるので、これから農業を始めるプレイヤー層はもちろん、マネジメント層やオーナーの方にもぜひ知っておいてもらいたい内容です。

農業に関する用語

農地所有適格法人

農地所有適格法人とは、農地を所有することができる農業法人のことです。

法人が農業に参入する場合、農地を取得する方法は

  • リース
  • 所有

この2種類です。

農地を所有したい場合、農地法で定められている農地所有適格法人の要件を満たす必要があります。

要件には

  • 法人形態要件
  • 事業要件
  • 構成員要件
  • 業務執行役員要件

の4つの要件があります。

要約すると、一般的な会社形態で、農業で売り上げの大半を占め、農業関連者に議決権を与え、役員の過半数は年150日農業やってね、という内容になります。

これらの要件を全て満たす場合に「農地所有適格法人」となることが出来ます。(毎年報告義務あり)

農地の売買・取得の際には、上記の要件に基づいて農業委員会の許可を得なければなりません。

ただ、農業をやる手段は農地の所有に限ったことではありません。リース、つまり借りることによっても農業はできます。

農地は農地所有適格法人でなくても借りられるので上記の要件は関係ありません。

つまり、

農地所有適格法人は、農地の所有(自社名義)ができる。

農地所有適格法人でない農業関連会社は、農地の所有はできないが、リースで借りることは可能となります。

農事組合法人

共通の目的を持った農業従事者が集まって、農業経営・農作業に関わる施設設置・農作業の共同化に関する事業などを行う団体です。

農地所有適格法人や株式会社等の形態による農業法人と違い、農事組合法人は組合員全員への均等な利益配分を目的としています。

法人化にあたっては、農協法第72条に基づいて農業従事者3名以上が発起人となり、事業目的や事業内容等のとりまとめ、創立総会の開催・登記を経て行政への届け出を行います。

組合員は原則、地区の農業従事者であり出資のみ行うということは出来ません。事業も法令で決まっている範囲になりますので、枠を超えた事業を行う場合には組織変更の検討が必要となります。

認定農業者

認定農業者制度に基づいて、農業経営目標に向けた経営改善計画を市町村等から認定された農業者のことです。

認定機関は市町村・都道府県・国のいずれかで、農業者の営農区域によって変わります。認定農業者になるには経営改善計画を立案して農業経営改善計画認定申請書を提出しますが、申請内容は決まった認定要件を満たしておかなければなりません。

  1. 経営規模の拡大に関する目標(作付面積、飼養頭数、作業受託面積)
  2. 生産方式の合理化の目標(機械・施設の導入、ほ場の連担化、新技術の導入など)
  3. 経営管理の合理化の目標(複式簿記での記帳など)
  4. 農業従事の様態等に関する改善の目標(休日制の導入など)

参考 農林水産省https://www.maff.go.jp/j/kobetu_ninaite/n_seido/seido_ninaite.html

要約すると、一定規模以上で、ちゃんとした事業計画を立て、青色申告レベルの会計で、ちゃんと休みながら農業に取り組んでくださいね。という内容です。

農地の貸し借りは地主と借り手の個人間の契約になるため、契約更新の際には決まりごとはあるものの、特別な法的な制約は特にありません。

にもかかわらず、一見煩雑そうなこの認定農業者になった方が理由を説明すると、

この認定を受けると、各種交付金や融資税制などの支援を受けることが可能、となります。

特に融資面では低い金利と長い返済猶予期間が魅力的なため、農業に取り組む方にはかなりメリットとなる制度です。

農地所有と農地リース

農地所有とは農地の持ち主から買い取る、もしくは相続する方法によって農地の利用権を移行することです。

一方、農地リースとは、農地の持ち主(貸し主)から利用権を借りることです。

リースには①農地法に基づくもの、②農業経営基盤強化促進法に基づくもの、があります。

この2つの違いは、リースの契約期限が到来した時に農地が持ち主(貸し主)へ自動的に返還されるか否かにあります。

農地法によるリースの場合は法定更新があるため、契約期限がきても貸し主と借り主の両者の合意がなければ解約されません。

農業経営基盤強化促進法に基づくリースは市町村の計画に基づいて行われており法定更新の適用がないため、契約期限が来れば農地は持ち主(貸し主)へ自動的に返還されることになっています。

農地法によって農地を取得する場合には、所有でもリースでも基本的要件を満たして農業委員会の許可を得る必要があります。農業委員会への許可がおりない取得に関する契約は、基本的には無効になるので注意が必要です。

農業サポートに関する組織・機関

農地中間管理機構(農地バンク)

農地中間管理機構は、都道府県に設置された公的機関で通称「農地バンク」といわれています。管轄は農林水産省になります。

農地バンクでは、農地を貸したい人(出し手)から農地を借り受けて、農地を借りたい人(受け手)にまとまった形で貸し出す事業を行っています。

預かった農地の整備と管理から受けて探し、更に農地を再配分するための配分計画が主な業務です。

分散して入り組んでいる小規模な農地をまとめることで、農業の規模拡大・効率化・生産性向上を図ることを目的としてこの取り組みが始まりました。

平成26年施行後は5年毎に事業の見直しが行われていますが、農地バンク事業の“事務手続き等に関する不満”や“機構と地域のつながりの弱さ”などの課題を受けて、令和元年に農地バンクの推進体制が改められています。

実際に利用したことがある方の声としては

「借りたい土地を見つけてから実際に借りるところまで、とにかく遅い。」

「そもそも掲載案件数が少なすぎる。」

などの意見があり、まだまだ課題はたくさんあります。

全国農地ナビ

全国の農地情報を集めてインターネット上で公開するサイトで、平成27年4月1日よりサービスが開始されました。運営・管理は全国農業会議所が行っています。

市町村及び農業委員会が管理している農地情報がインターネット上で確認できるため、問い合わせをしなくても農地情報を閲覧することが可能となりました。地図上で農地検索が出来るので、容易に希望する農地を探すことができ、農地の状態を把握することが出来ます。

行政の農地集積業務においても農業者との情報共有などに役立てられていますが、実際の貸し借りや農地の引き渡しを受ける際には農業委員会の許可が必要なため注意が必要です。

全国農業会議所

農業委員会組織の1つで、農業委員会等に関する法律に基づいて1954年に設立されました。2016年4月1日の法令改正に伴って「一般社団法人全国農業会議所」となっています。

農業委員会や都道府県農業委員会ネットワーク機構を支援するための機関で、行政・一般・事業者・経営者などに向けて農業に関する情報提供・農業経営等に対する支援業務を行っています。

具体的な取り組み例として「日本農業技術検定試験」の開催や「全国農地ナビ」による農地情報の提供、農業への新規参入サポートや雇用・継承支援などが行われています。

農業支援センター

NPO法人農業支援センターは、新たに農業を始めたい・就農したいと考えている人に対して就農・新規参入をサポートしている組織です。

独立就農型・法人等への就農型・継承型の3つの支援体制を整えており、就農希望者の条件にマッチした支援が行われています。

  • 就農・新規参入支援
  • 経営基盤強化支援
  • GAP認証取得支援
  • 企農塾

などの事業があり、経営規模・生産拡大に向けたマーケティングの仕組み作りや農業の基礎知識・経営知識を身につけるためのコンテンツが提供されています。

農業の産業化を目指して、国際水準であるGAPによる経営管理体制の構築サポートも行われているため、更なる農業経営の土台強化が期待できるでしょう。

農業補助金・農業融資制度

農業補助金・農業融資制度に関しては下記記事も参考にしてみてください。

▼参考記事

農業やるなら押さえておきたい資金調達制度

農家の資金調達の選択肢|金融機関だけじゃない

青年等就農資金

新規就農者への支援を目的に農林水産省が行っている融資制度で、日本政策金融公庫が取り扱っています。

これから農業を始めようとする新規就農者が対象。5か年の利益計画など一定の条件を満たした就農計画を提出し、認定新規就農者という認定をもらうと、長期・無利子で借り入れ出来る資金です。   

認定を得るための就農計画を達成するために活用する資金となっており、農地等の取得を除いて農地等の改良から農薬・肥料などの資材の購入費、運転資金にも充てることが出来ます。農地等の取得については別途、農地等の取得に利用可能な経営体育成強化資金があるのでこちらの制度が活用できます。

青年等就農資金の返済期間は17年以内。さらに5年間据え置き(返済が発生しない)期間付きで融資限度は3700万円となっているので、新規就農者には必須の資金制度といえます。

ただ、年々細かなマイナーチェンジがあるため、本気で狙っている方は早めのお申し込みがおすすめです。

アグリマイティー資金

JA独自の融資で、農業に従事し一定の基準を満たすことが出来れば認定農業者でなくても借り入れが出来る資金です。

対象者は

  • JAの組合員の方
  • 農業従事者の方
  • その他JAの定める基準を満たす方

参考:JAバンク https://www.jabank.org/loan/nougyo/sinkou/

目的別に4つの制度が用意されています。

  • アグリエース資金
  • アグリネット資金
  • アグリエリア資金
  • アグリパワー資金

資金の使途は農業生産、加工・流通販売、地域活性・振興、再生化エネルギー利用のいずれか。

メリットはスピーディーに対応可能である点と認定農業者じゃなくても利用できる点です。
JAの組合員かつ農業従事の実績がある方ならまず通るとされているので、こちらも注目しておきたい制度です。

農業次世代人材投資資金

農業を始めます、研修しますという計画を提出すると合計で1000万円近くもらえる制度がこの「農業次世代人材投資資金」。

農業における人材の育成・確保を目的に新規就農者の支援として、就農希望者又は独立・自営の新規就農認定者に対して交付される公的資金です。

就農に向けて技術等を習得しようとする研修受講者向けの“準備型”と、新規就農認定者を対象に農業経営が安定するまでの期間に交付される“経営開始型”の2種類があります。準備型は都道府県認定の研修を受ける場合に最長2年まで一定の資金を毎年受け取ることができ、経営開始型については就農後に経営が安定するまでの最長5年間交付が受けられ、それぞれ交付主体が異なります。

資金は完全にもらえるお金のため、農業へ投資するのはもちろん、生活費に充てても良し、資金用途は何でも良しという非常に使い勝手の良い制度です。

いずれも交付を受ける為の要件として“就農時に49歳以下であること”等の定めがあり、返還・交付停止となる基準もあるので制度の内容をよく理解しておく必要があるでしょう。この資金を得た時は所得扱いとなるので確定申告が必要です。

まとめ

漢字ばかりで堅苦しい制度名かもしれませんが、そこまで難しいものはなかったのではないでしょうか。

このように、国や各団体が農業をすることを積極的に後押ししているので、制度を有効に利用して成功確率をあげましょう。

ここでは説明しきれなかった制度や書類提出の内容・相談、農業事業を行うにあたってどんなモデルが良いのかなどに関しては、ぜひ一度お問い合わせください。

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